初めて日本酒を飲みたいと思ったキッカケは、、
「テレビドラマの中で日本酒を美味しそうに飲む場面があったから」
「友達に勧められたから」
「20歳になったから」
などなど、いろいろあると思います。
だけど、日本酒を飲みたくなって酒屋やスーパーに行っても、種類が多くて「どの日本酒を選んでいいかわからない」し、普段、ほとんどお酒を飲まない人なら、「そもそもどれが日本酒なのかわからない」なんていうこともあるでしょう。
この記事では、できるだけ日本酒の難しい理屈(笑)には触れないようにしたいと思いますが、ある程度の知識がないと、やっぱり日本酒を選ぶのも難しいので少しは理屈も書きます。
早く飲みたいという気持ちをなんとか抑えて頂いて読んでみて下さい。
読んで頂けたら日本酒が見えてきます。
1.『特定名称酒』と『普通酒』
2.日本酒度
3.酸度
4.おすすの日本酒
1.『特定名称酒』と『普通酒』
初めに、日本酒の分類で、『特定名称酒』と『普通酒』があることを知って下さい。
特定名称酒の条件のひとつに「米、米麹、醸造アルコール以外の原料を使用しない」とあります。
これに対して普通酒は「米、米麹、醸造アルコール以外の原料を使用しても良い」ことになります。
普通酒で何を使用するかというと、主に糖類と酸味料です。
糖類とは水あめやブドウ糖など、酸味料とはクエン酸や乳酸など。
えっ? 日本酒を作るのにそんな混ぜ物をするの? と驚くかもしれませんが、安価な普通酒ではそれが一般的です。一概には言えないところもありますが、説明すると複雑になってくるので、ここではその程度に思ってください。
クエン酸や乳酸などは日本酒の製造過程でも生じるものですが、普通酒の場合は、味を調えるために、それらを意図的に添加していることがあります。
酸味料や糖類を加えた日本酒を飲むと、妙な旨味と甘みを感じることがあります。造られた味と言う感じでしょうか。
これは普段飲みの晩酌なら良いと思いますが、初めて飲む日本酒としてはお薦めしたくないですね。
添加されているかどうかの判断は、ラベルを見ると原材料の中に糖類、酸味料と書かれているので、すぐわかります。
次に、特定名称酒の話に移りますね。
特定名称酒は、
「純米酒」
「特別純米酒」
「純米吟醸酒」
「純米大吟醸酒」
「本醸造酒」
「特別本醸造酒」
「吟醸酒」
「大吟醸酒」
の8種類に分けられます。
その中で『純米』という文字が付いているものは、米、米麹、水だけで造られるもの。
『純米』という文字が付いていないものは、米、米麹、水に醸造アルコールが添加されているものです。
ここでまた 「えっ? 日本酒を作るのにそんな混ぜ物をするの?」と思われるかもしれませんが、そうなんです。添加するんです。
添加というとイメージが良くないですが、それは誤解で醸造アルコールの添加は悪いものではありません。
醸造アルコールは純度が高い焼酎のようなもので、それを加えることによってスッキリした味になったり、香りをより引き出すことができます。
品評会などに出される大吟醸は、純米大吟醸より、大吟醸の方が多かったりするようですね。
そして、その中のもうひとつの違いは、米の磨き方。
玄米の状態から米をどのくらい削ったかで大吟醸、純米吟醸、本醸造のように分かれていきます。
例えば、吟醸だと40%を超えるほど削りますので、玄米から残った割合(精米歩合)は60%以下になりますね。一般的に、米は削れば削るほど雑味が減って、香りが良いお酒になります。
精米歩合については、もっと語りたいこともありますが、ここではこの程度にしておきます。
話を戻して、、、初めて飲む日本酒は、この特定名称酒8種類の中から選んで頂きたいですね。
初心者におすすめしている日本酒の記事を見ると、大吟醸とかアルコール度数が低い日本酒と書かれていることがあります。
どちらも正解だと思いますが、それよりも最初は特定名称酒8種類の中から『純米酒』をおすすめします。
純米酒は、米、米麹、水だけで造られていて、日本酒本来の味がよくわかることがおすすめの理由です。
それなら、純米吟醸や純米大吟醸でも良いのでは? と思うかもしれませんし、実際にその方が飲みやすいかもしれません。
でも、初めから高品質のモノよりも、最初は平均的なレベルの純米酒からスタートして、その後に華やかさが膨らんでいく吟醸酒→大吟醸酒の順に進んだ方が、味の変化や広がりを楽しめるのではないかと考えます。
価格的には、普通は純米酒→吟醸酒→大吟醸酒の順で上がっていきますが、高いから美味しいとは言い切れないのが日本酒の面白さです。
それは飲む人の好みによって変わってくるので、価格とは別モノでしょう。
2.日本酒度
次は、上に書いた原料や製法の分類とは別に、日本酒の味わいを示す甘口と辛口の区別について書きますね。
日本酒には甘口と辛口があります。
その見分け方については、ラベルを見ると大抵『日本酒度』が表示されていて、それがプラスの数字だと辛口、マイナスだと甘口です。
+10以上になると、けっこう辛く感じ、逆にー10以上になると甘く感じます。
ただ、感じ方は人によって違うので、例えば辛口が好きな人だと『やや辛口』のタイプ(0~+4.9ぐらい)でも甘く感じることもあります。日本酒度は目安にしておきましょう。
初めて飲む時は口当たりの良い甘口がおすすめです。
3.酸度
日本酒度とよく一緒に説明されるのが酸度で、その数値は1.0~3.0が一般的です。
酸度というと、酸っぱさをイメージしますが、日本酒の場合は飲んだ後の味わいのことをいいます。キレともいいますね。
酸度の数値が低いとキレがいい淡麗で、高いと余韻が残って芳醇(濃淳)なんて言われます。
飲みやすいのはスッキリ感のある『淡麗』だと思います。
でも、酸度も日本酒度と相まって感じ方、個人差があるので目安にするのが良いでしょう。
面白いことに、この酸度によっても甘口辛口の感じ方も変わってきます。
日本酒って奥深いと思いませんか?
4.おすすめの日本酒
以上から、おすすめしたいのは、淡麗か甘口のタイプです。
淡麗は東日本の酒蔵に多く、甘口は西日本の酒蔵に多い傾向があるので、淡麗甘口は相反する感じになり見つけにくいかもしれません。
初めは淡麗よりも甘口を優先した方が飲みやすいかと思います。
そして、純米酒からスタートすると、その後に飲む日本酒のタイプの違いが感じやすいでしょう。
醸造アルコールが添加されている日本酒は、人によってはアルコールの匂いを感じて嫌う人もいますが、それも試してみて欲しいですね。
いろいろな日本酒を飲み比べていくと、普通酒や特定名称酒、そして甘口、辛口、淡麗、芳醇の中から自分に合ったタイプ、組み合わせが見つかります。
あなたに合った日本酒はどのタイプでしょうか?
5.まとめ
- 日本酒には『特定名称酒』と『普通酒』の分類があります。
- 『特定名称酒』は製法によって8種類に分かれます。
- そして更に、醸造アルコール添加か無添加かに分かれます。
- 日本酒の味わいの区別を示す指標に『日本酒度』と『酸度』があります。
- 初めて飲む日本酒は、純米酒の甘口をおすすめします。